現場に帰ろう

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現場を知って本質を見る。

知恵は経験から生まれる。

経営と現場の一体化が重要。

技術者がマニュアル求めてどうするんだ。

マニュアルではなくノウハウを伝える。

これは、現場を重視する、技術者サイドの責任者や生産部門から経営層になった方から頂戴した言葉です。

これらの言葉からは２つのことが伝わってきます。

一つは、現場の大切さです。

二つ目は、マニュアル偏重への警鐘です。

ではまず、現場の大切さについて考えてみます。

昨今様々な事故や不祥事が発生しています。数プラントや工場の事故や火災、航空会社のうっかりミス、鉄道事故などが残念ながら続いています。

それぞれの事故やミスについての原因が注目されます。私見ですが、究極には現場を見ない効率重視の考え方があるのでは無いでしょうか。私は経営者ではないので軽軽なことは言えませんが、あえて言うならば、昨今のコスト重視で短期間に結果を出そうとする･････出さなければならない経営環境に遠因が有る様に思います。

現場で何が行われているのか自社の懐を知らずに--知ろうともせず、コンサルタントや経営評論家が言うグローバルスタンダードや、コスト重視の生産現場のアジアへ移転などを経営理念も何もなく盲従する経営は正しい経営とは思えません。

日本の生産現場は、多少コストはかかっても地道で責任感にあふれる職人技術者に支えられて来た面も有ると思います。

コスト重視でアジアに生産拠点を求めるのは、生産技術が確立された単純大量生産の製品には合っているかもしれませんが、特殊な技術やノウハウが活かされたり製品のメンテナンスが求められる様な製品は、国内に技術者を養成して生産すべきであると考えます。

現場を訪れ、現場の技術者の声を真摯に聞く経営者は、いったい今何人いるのでしょう。

踊る大捜査線で青島刑事の言葉『 事件は会議室で起きているんじゃない、事件は現場でおきている 』は、正に今日の日本の経営を言い当てています。

昨今プロ野球の改革が問題になりましたが、オーナーとか球団社長といった方々からコミッショナーまでが、野球の本質をどこまで知っているのか疑問です。選手や試合について現場の声に素直に耳を傾けて経営の参考にしていれば、もっと違う経路を辿ったのでは無いでしょうか。机上で議論ばかりしていないで、外野席でファンと一緒になって野球を観戦して下さい。

企業活動の原点である現場に立ち返る事の重要性を、昨今の様々な出来事が知らしめています。

経営建再建に至った企業の原因や、経営再建を果たした企業の再建策についての報道を見ますと、現場に関る事が一番のポイントに上げられている事に気付きます。

以上で現場の大切さについて述べてみました。

次にマニュアル重視への警鐘について考えてみます。

現場の優秀な技術者は、良い意味で職人です。職人であるが故に標準以上の製品を作り出し、臨機応変変幻自在の対応ができるのです。マニュアル通りの生産工程からは標準を超える製品は作り得ません。

標準--マニュアルは、基準や基礎としては大事であると思います。決してマニュアルを否定するものではありません。但し究極の判断や技は、人間各個人のノウハウや経験や資質から生まれるという事実に目をつぶるべきではありません。マクドナルドやファミリーレストランのマニュアル通りの対応にはうんざりしている人も少なくないのではないでしょうか。

ホテルや交通機関などのサービス業においては、マニュアル通りのサービスの徹底だけでは、平均値を超えられないでしょう。いわんや究極のサービスは期待できません。

マニュアル通りですむ事は、コストが安い生産拠点に任せれば良いのかもしれません。

スピード重視で短時間で成し遂げ様とする事には必ず無理が出てきます。しっかりした技術を身に付ける事、お客様と良い関係を築く事･････接待とかそういったどろどろした事の無い本当の意味での顧客との関係作りには時間がかかるものです。逆に短期間で築くものは、短期間でいとも簡単に壊れます。

世界で一つだけの花という歌の歌詞に有る様に、一人一人違う資質や技能を持っているという事実を認めた上で経営を考えるべきです。ＡさんのかわりはＢさんでもできる場合もありますが、Ａさんでなければ出来ない事もあります。昨今は人を指定した仕事の依頼をするなという指示がでていますが、とんでもない事です。

同じ仕事でも担当する人によって結果が違う事は枚挙に暇がありません。欧米流に人間を機械的に捉える経営者は最低の経営者です。

現場軽視、コストとマニュアル重視、技術者一人一人の経験、資質、ノウハウを軽視して成果主義に突き進む事は非常に危険です。

さてさて、自分勝手な意見を長々と書いてしまいましたが、現場重視の大切さとマニュアル重視への疑問について、お客様の声を元に考えて見ました。